商品において使われている、「中酸性ミネラル水」について紹介しましょう。
専門的な用語を省いてわかりやすく書いたため、少々長くなっていますが、一度読むとあなたはミネラル水について、ちょっとした知識を取得できるでしょう。
量が多いので、めんどくさい人や暇な人には奨めません。
2010年8月19日 補足
「中酸性ミネラル水」の溶液の「特殊な製造ノウハウ」を「自分にしか作れない」「自分が改良した」と称する者がいますが、本来の考案・開発された方の指導によってできるようになったものである事を把握しております。
あなたは「ミネラルウォーター」ときいて、どんなものを想像するでしょうか?
「おいしい水」、「きれいな水」、「天然の水」「ミネラル(無機物)を多く含んだ水」
と想像する方が大半だと思います。
ところが、ミネラルウォーターはミネラル成分の品質規定があるわけではありません。
この話をすると「ええ!?そうなの?」と言われます。ミ
ネラルウォーターの区分については、農林水産省がガイドラインを定めています。
品名 | 原水 |
処理方法 |
---|---|---|
ナチュラルウォーター | 特定水源から採水された地下水が原水 |
沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行っていないもの |
ナチュラルミネラルウォーター | 特定水源から採水された地下水で地下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水(天然の二酸化炭素が溶解し、発泡性を有する地下水を含む。) |
|
ミネラルウォーター | 特定水源から採水された地下水。 |
沈殿、濾過、加熱殺菌以外にミネラル調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われている場合。 |
ボトルドウォーター・飲用水 | 地下水あるいは地下水以外の原水で飲用に適した水を使用し、右記の処理を施したもの。 ※地下水以外の原水=海洋深層水/蒸留水/水道水 など |
沈殿、ろ過、加熱殺菌以外に、品質安定や機能の強化などの為に原水の成分を変化させる処理を行ったもの ●ミネラル分の調整や添加 処理方法に限定はないが、食品衛生法に基づく加熱殺菌などの処理が必要 |
1990(平成2)年農林水産省制定 「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」より
あくまでも表記について原水と処理方法に関する定めだけであり、ミネラル成分がどれだけ含まれているかについては決まっていません。
なお、EU(ユーロ)諸国におけるミネラルウォーターの基準は水質以前に「水源周囲の自然環境を厳しく管理している」「加熱消毒をしてはいけない」「有益なミネラルを一定量含んでおり、バランスが良いこと」などの厳密な基準を設けています。
「中酸性ミネラル水」はミミウォッシュ、ハナウォッシュをはじめとする商品で使われています。
原材料は自然の鉱石である花崗岩(黒雲母)から特殊な製法により抽出したミネラル成分が豊富にバランスよく含まれる「水」をオリジナルの製造法により調整・配合したものです。
(ガイドラインによる区分として「ボトルドウォーター」 に該当します。)
2010年8月18日補足
この文章を書いた2005年当時は「オリジナル」と記述していましたが、製造方法は当時の販売社有限会社ミネラルサイエンスのオリジナルではありません。別の方が開発・発明されたものであり、当時の代表取締役Sがその指導を受けて作れるようになったことがわかっています。「改良した」と称していましたが、改良された事実はありませんでした。当時の私も知らなかった事もあり、「オリジナルの製造法」と誤解を招く表現になっておりますが、あえてそのままにしています。
「中酸性ミネラル水」の原材料には日本国内で採れる花崗岩の中でも良質なものを使っています。
この花崗岩は日本列島が海の底だった、数億年前から海中の様々な成分が海底に堆積(たいせき)してできたといわれます。ここでとれる花崗岩は長い間にわたってミネラル成分が豊富にバランスよく浸透していると言われます。
この中でもとくに最良とされる黒雲母を原材料として、国内の工場で特殊な製造法によって作られています。
この時に多種類のミネラル成分がイオン化したミネラル水原液として抽出されます。
なお、「粉末状のミネラルを水に溶かす」といったものでは鉄分やチタンなど、ミネラルの種類によっては、なかなかイオン化しないことがわかっています。
現在、確認されているミネラル成分は22種類ですが、他にもまだ多くのミネラル成分が含まれていると言われています。
「中酸性ミネラル水」の特徴は以下のとおりです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ミミウォッシュをはじめとする製品を初めて使った人が「おや?」思うのはこの点です。
「中酸性ミネラル水」にはアルコール成分、防腐剤などの化学成分および薬品成分は含まれていません。
この点は社団法人東京都食品衛生協会による、ヒ素、鉛等の試験、ヒメダカへの毒性試験によって有害な物質が含まれていない事が証明されています。
ヒ素、鉛等の成分 | 検出結果 | 検出量 |
---|---|---|
ヒ素 | 検出しない | 0.5ppm以下 |
鉛 | 検出しない | 0.5ppm以下 |
カドミウム | 検出しない | 0.05ppm以下 |
総水銀 | 検出しない | 0.01ppm以下 |
総クロム | 検出しない | 0.1ppm以下 |
ヒメダカに対する 魚類毒性試験 |
試験水中にて48時間、ヒメダカを飼育したところ、異常を認めず。 |
※残留塩素を取りのぞいた水道水にて試験品を100ppmに希釈して、試験水として使用しています。
人間にとって空気が必要なようにヒメダカの健康は水によって大きく左右されます。
昔は日本の川ではメダカが多く生息していた事を知っている人は多いでしょう。
川でオムツを洗うとメダカがやってたいいます。それと同じくらい綺麗な水質です。
「中酸性ミネラル水」は水の性質はPh3〜5の中酸性質で、22種類の天然ミネラル成分がバランスよく含まれ、完全にイオン化しているため、皮膚や体内に吸収されやすくなっています。
ミネラル成分が豊富にバランスよく含まれていることで、皮膚細胞を活性化し再生を早めるといわれます。
中酸性ミネラル水に含まれるミネラル成分は22種類。
「中酸性ミネラル水」に含まれるミネラル成分
カルシウム | アルミニウム | 鉄 | セレン | カリウム | モリブデン |
ルビジウム | ナトリウム | 銅 | ケイ素 | パナジウム | チタン |
ゲルマニウム | マグネシウム | リン | ニッケル | リチウム | |
バリウム | タングステン | 亜鉛 | マンガン | コバルト |
試験者 日立協和エンジニアリング株式会社 日立分析センタ 分析技術課
成分/試料名 | 中酸性ミネラル水 | 成分/試料名 | 中酸性ミネラル水 |
---|---|---|---|
カルシウム(Ca) | 532 | 銅(Cu) | 5.5 |
リン(P) | 250 | コバルト(Co) | 4.6 |
マグネシウム(Mg) | 4700 | ニッケル(Ni) | 3.0 |
カリウム(K) | 2100 | モリブデン(Mo) | <1 |
ナトリウム(Na) | 110 | リチウム(Li) | 5.4 |
セレン(Se) | <10 | バナジウム(V) | 27.4 |
ケイ素(Si) | 54 | タングステン(W) | <10 |
ゲルマニウム(Ge) | <10 | バリウム(Ba) | <0.5 |
亜鉛(Zn) | 22.4 | チタン(Ti) | 1210 |
マンガン(Mn) | 210 | アルミニウム(Al) | 11000 |
鉄(Fe) | 12000 | ルビジウム(Rb) | 2.67 |
分析方法
(SI)モリブデン青吸光光度法
(その他)ICP発光分光法、又は原子吸光光度法
日立協和エンジニアリング株式会社 日立分析センタ 分析技術課 調べ
ミネラルはそれぞれが連携、働きあって効果を発揮します。
しかし、その組合せと含まれる量によっては互いに効果を発揮しなくなる場合があります。
「拮抗作用」といいます。
そのため、ミネラルは単に1つだけを摂ればいいものではなく、種類の組み合わせとその比率、バランスに注目する必要があるといわれます。
「中酸性ミネラル水」はO-157などの各種雑菌やウイルスなどを不活化(死滅)する作用があります。
これは大阪大学微生物病研究所および大阪労災病院などの研究データにより証明されています。
下の図は中酸性ミネラル水の殺菌・ウィルスの不活化の研究データを図にしたものです。
ウィルス名 | 濃度(%) | ウィルス名 | 濃度(%) |
---|---|---|---|
O-157 | 0.1% | HIV | 1.9% |
ヘルペス | 0.6% | ポリオ | 16.7% |
麻疹 | 0.8% |
図には記載していませんが、他にコレラ菌やMRSA(黄色ブドウ球菌)等のウィルスに対しても不活化の作用がある事が報告されています。
ずいぶん前に一時期、話題となった「アルカリイオン水」「アルカリ性食品」などで、「アルカリ性」と「酸性」の区別がありました。ご存じでしたか?今でもこんな話を聞く事があります。
「酸性は身体に悪いのでは?」「酸性は身体に悪いんじゃあ…」
食品や水を「アルカリ性」、「酸性」と食べ分けることで体内の酸・アルカリ度を調整して健康維持に役立てるという説で、「酸性の食品や水は血液や体組織を酸性にかたむけるから悪玉で、アルカリ性食品や水は酸を中和する働きがあるので善玉」という話があります。
はっきり言います。誤りです。
昔の栄養学では「怒りっぽいのは血液が酸性だから」という話のように血液が酸性になると体に良くないと考えられていました。
実際、皮膚の表面は弱酸性、血液は中性に近い弱アルカリ性に保たれており、それぞれアルカリ性、酸性と特性を活かしているといわれます。加えて、身体には一定の酸・アルカリ度を保つためのホメオスタシス機能(緩衝能)がいくつも血液・呼吸器・腎臓などに張り巡らされています。
肺や腎臓などの病気の結果として身体が酸性に傾くことはありますが、アルカリ性あるいは酸性の食品・水を摂ったからといって、体液や体組織が酸性もしくはアルカリ性になるということはあり得ないことがわかっています。
現在ではアルカリ性・酸性といった区別は意味がないということがわかっています。
ところが一部ではいまだに根拠なく、それらしい理屈でアルカリ性をもてはやし、「アルカリ性だから、アルカリイオンだから健康に良い」と宣伝している所があります。
間違った話にしないためにもしっかりと勉強していきたいものですね。
次からはミネラル成分がもつはたらきについて、関係する歴史もおりまぜつつ、見ていくことにしましょう。
ここではミネラル成分がもつはたらきについて話をする前に歴史を振り返ってみましょう。
実はビタミンを発見したのは日本人ですが、ビタミンが発見された当時の日本とミネラルについて話をする現在の日本が驚くほど似ているからです。
今からさかのぼること約100年近く前の日本へ参りましょう。
私たちがよく知っているビタミンは日本人が発見したという事は知っていましたか?
1910年(明治43年)、農学博士であった鈴木梅太郎は日本に蔓延していた脚気の原因が米ぬか中に含まれる、現代のビタミンBである「オリザニン」不足であることを突き止めました。
脚気は下肢のむくみが起こり、神経障害によって下肢のしびれが起きることが特徴で、やがては心臓発作を起こし、死を招く危険な病気として恐れられていました。
症状は全身の倦怠感、無気力感、脱力感、意欲減退、食欲不振、眠気、だるさ、むくみ、嘔吐、錯乱、逆上などの症状が出て、立っていられなくなり、座り込み、さらに何をするにも無気力になり、判断力もなくなり、鬱(うつ)状態になり、しまいには寝込みます。
現在ではビタミンB1が不足する事によって引き起こされる神経障害とわかっています。江戸時代「元禄時代」と呼ばれた頃から江戸に来ると発病するということで「江戸患い」とも呼ばれ、関西では「大坂腫れ」、京都では「三日坊」などと呼ばれ、主に都市部での発症が顕著でした。
医者に診てもらっても悪いところが見られず、「悪いところはみられない」という話も多くあり、当時は治療方法もよくわからず、ただ神仏や祈祷に頼るだけでなす術がありませんでした。
この傾向は明治時代になっても変わらず、1910年当時は東京などの都市生活者達に多く発生し、結核と並んで二大国民病とまで言われていました。それだけに鈴木の発見は広く歓迎されるはずでした。
しかし、当時の日本の医学界は農芸化学者である彼の発見を認めようとしませんでした。
1年後に同一の物質を発見したポーランド人のカシミール・フンクの命名した「ビタミン」という名称が一般名詞として通ることになりました。
鈴木梅太郎は「ヴィタミン研究の回顧」でも当時を振り返り、鈴木は医者ではなかったため、なかなか話を聞いてもらえず、当時は医者や製薬会社からも無視あるいは厄介者扱いされていたと述べています。
農学者であった鈴木が発見したオリザニンは、脚気に有効な事が証明され、ビタミンはその後、鈴木をはじめとする学者の研究によって、多くの種類がある事が発見され、現在に至っては生命の維持に重要な栄養であるとの認識となっています。
参考: ヴィタミン研究の回顧
http://www.aozora.gr.jp/cards/000957/files/43529_17211.html 鈴木梅太郎
青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)収録
鈴木梅太郎の「オリザニン」発見より先立つ、約30年前の1880年頃の事です。
1833年(明治16年)、海軍の遠洋航海で水兵に脚気による23名ものの死者が多数発生しました。
この状況を重く見た 海軍大医監であった高木兼寛(たかき かねひろ)は脚気の原因は食事の栄養にあるのではないかと考えました。試行錯誤し、2隻の軍艦の乗組員の食事を白米食と麦飯食に分けて脚気の発生率を検証しました。
翌年の1834年(明治17年)の遠洋航海で麦飯食を取り入れ、航海中の乗組員の脚気の発生が皆無であったことから、海軍では白米の中に大麦を混ぜた麦飯食を食べる予防法が普及することとなりました。
当時の技術では大麦がどのように脚気を治し、防ぐかまでは把握できませんでした。
脚気に苦しんでおられた、明治天皇は「原因がわからなくても治療はできる」といわれ、高木の説を受け入れ、麦飯食を取り入れてご自身の脚気を治療されました。
当時、脚気は細菌が引き起こす伝染病と考えた陸軍軍医総監であり、日本の医学界の最高峰であった森林太郎や東京帝国大学医学部の緒方正規や青山胤通(あおやまたねみち)、石黒忠悳(いしぐろただのり)らは高木の説に強硬に意を唱えて、高木の予防法を否定しました。
当時の森たちが唱えた話を要約すると「効果がなかった」「科学的ではない」「インチキ」であったと言われます。
「効果がなかった」というのは適切な抽出がされていなかったためといわれます。
しかし、この扱いが後に多大な人命を失うことになります。
高木の説を森たちが否定した結果として、陸軍では脚気による死者を大量に出すことになりました。日露戦争では陸軍が25万人もの脚気患者を出し、約2万7千名の兵士が亡くなっています。同時期、海軍では脚気にかかった者は2名のみで死者はいなかったと伝えられます。
「二〇三高地」でよく知られている日露戦争の激戦となった1904年の旅順戦での日本軍の負傷者が4万4千人、戦死者が約1万5千4百人です。脚気で亡くなった兵士はそれさえも上回っています。
この事態に驚いた現地は上層部に何度も海軍の脚気対策である麦飯食を取り入れるように是正を要請しました。上層部では麦飯食に対する議論はあったものの、麦飯だと兵士の士気をが落ちるとの否定意見が強く、聞き入れられませんでした。(いくつかの説があり、陸軍上層部は森らを無視して、是正命令を陸軍全体に伝達したという説もあります。)
日露戦争は日本海海戦において日本海軍がロシアのバルチック艦隊を打ち破り、結果として日本の勝利に終わりましたが、脚気の対策ができていなければ、練度不足で日本は間違いなくロシアの植民地になっていたことは確実でした。
しかし、森たちは日露戦争で死者を大量に出した責任を取ることなく、この5年後の1910年に鈴木梅太郎が発見したオリザニンの話も森たちはけなしていました。鈴木もよほど腹に据えかねたようで、回想録の中で酷いことを言われたり、インチキ扱いされた事を書いています。
石黒は後に誤りを認めましたが、青山や緒方、森は死ぬまで誤りを認めませんでした。
この森林太郎が明治を代表する「舞姫」「高瀬舟」などの名作で知られる文豪の森鴎外でもあることは有名な話です。
脚気とビタミンの発見にまつわるこのエピソードは100年後の今日、生活習慣病や「ミネラル不足」がささやかれる日本を生きる私たちにはいろいろな注意と教訓をもたらしているのではないでしょうか?
さて、話を現在に戻しましょう。
「身体の中にごく微量のミネラルがあり、それが何らかの働きをしているらしい」と18世紀頃から言われてきました。20世紀になって体内成分の定量法や構造決定法などが確立され、ミネラルの種類やそれぞれのミネラルが身体でどのような役割を持っているか、だんだんとわかってきました。
1990年代初めに、原子吸光光度法などの分子量測定法が民生レベルでも実用化され、水や食物におけるミネラルの元素量などがようやく測定できるようになりました。
元素とはあらゆる物質を化学的に分解していった時、もうこれ以上分解できないとされる、最小限単位の要素のことです。人間の身体を構成する元素は現在、約30種類あることがわかっています。
人体の約95%は酸素、炭素、水素、窒素でできているため、これらは「主要元素」と呼ばれます。残りの5%が「微量元素」でこれが「ミネラル」「無機質」と呼ばれています。
この微量元素はさらに「準主要元素」と「微量元素」にわけられることもあります。
3〜4%含まれているといわれるのはカルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、イオウ、塩素らの準主要元素です。
残り1%がこれよりさらに少ない、約0.02%の鉄、銅、チタン、タングステン、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルト、フッ素、ケイ素などが微量元素と言われます。
体内におけるビタミン合成も含めた働きを助けるのがミネラルです。ビタミンは体内で元素を元に合成する事ができますが、ミネラルは元素であるため、合成のしようがなく、体外から食物あるいは飲料水などで摂取していく必要があります。
ミネラルについては名前が知られているのに、それがどういったものか、意外と知られていません。
わかりやすく書きましょう。
先に「連携して働いている」と書きました。
ミネラルはそれぞれが連携して働いており、それぞれのミネラルごとに組み合わせのルールが決まっており、体内で処理が行われています。
その組み合わせ次第では有効に働いたり、働かなかったりする、「拮抗作用」というのがあります。
あなたはテレビゲームをしたことはありますか?
私も時々やりますが、テレビゲームで一定の組み合わせで連携させて、ブロックを消すパズルゲーム。前にブームになっていましたね。
体内でこれと同じようなことが行われていると想像するとわかりやすいかもしれません。(あくまでもわかりやすく伝えるためのたとえ話ですが。)
ここではわかりやすくするため、よく知られているミネラルを3種類、カルシウム、リン、マグネシウムを取り上げます。
組み合わせは表のとおりになります。
カルシウムとリン | 1対1 |
カルシウムとマグネシウム | 2対1 |
骨や血液などの代謝で働くミネラルであり、理想的な摂取バランスは大人が1対1とされています。 カルシウムが不足すると骨折しやすくなるばかりではなく、血液の血行に支障を来し、高血圧や動脈硬化を招きやすくなると言われます。
リンの摂取が多くなると、余分なリンが体外に排出される際、体内のカルシウムイオンを道連れにしてリン酸カルシウムの形で体外に出してしまいます。
さらにこのカルシウムの働きを調整する重要なマグネシウムがあります。体内の代謝、体温調節など関わるなど重要な役割を担っています。マグネシウムの摂取にあたってはカルシウムとマグネシウムは2対1とする理想バランスがあります。マグネシウムが不足すると動脈硬化、狭心症や心筋梗塞の原因となります。
マグネシウムは飛び抜けて多く含む食品が少ない上に近年は肉やスナック菓子などでリンの摂取が多い傾向があります。リンイオンによってカルシウムイオンが強制的に体外に排出されてしまうため、マグネシウムイオンが有効に使われずに排出され、結果としてマグネシウム不足を招いてしまうと言われます。
この他に鉄分や銅などの微量金属ミネラルは体内の神経伝達の信号などにも使われているといわれています。ミネラルをバランスよく摂取していく必要があるといわれるのはそのためです。
人間の目から見たら、ほんのわずかな量ですが、このわずかな量のミネラル成分が人体の健康を左右する1つの要素である事が明らかになりつつあります。
ミネラルについて現時点でわかってきたことは元素のうち人間の身体に存在して何らかの働きをするミネラルはビタミンなどの栄養素と同様あるいはそれ以上の重要な働きをすることと、科学的解明が途中のものを含めると、約30種類、あるいはそれ以上になるといわれています。
実際、現在の科学でもまだわからない事の方が多く、科学技術の進歩を待たないといけません。
人体に必須なミネラルが仮に32種類とすると、組み合わせは質量を無視して、単純に計算しても1667万通りになると考えられます。
科学技術の進歩による解明を待っているよりは、「ミネラル不足」がひたひたとささやかれる現在、その適切な使い方を考えていくべきではないかと思います。
わかるように書いたため、回りくどくなってしまいました。
ミネラルのはたらきについてはまだ解明されていない事も多くあります。
あなたが、こうした話を知っているのと知らないのとでは違ってくるでしょう。
19世紀末に高木兼寛がビタミンの存在を把握し、鈴木梅太郎がビタミンを発見して、商品化にこぎ着けたのと同じような状態であり、ミネラルもやっと一部を把握できるようになったばかりです。
何よりもあなたがこの話をきっかけにミネラルに関して興味を持ち、正しく知っていくことの糸口にしていただけることをねがっています。
(前川修寛)
参考文献:
「ヴィタミン研究の回顧」 鈴木梅太郎 青空文庫
「白い航跡」吉村昭 講談社文庫
「金属は人体になぜ必要か」桜井弘 講談社ブルーバックス
「元素111の新知識」 桜井弘 講談社ブルーバックス
「金属なしでは生きられない」 桜井弘 岩波科学ライブラリー
「アメリカはなぜ「ガン」が減少したか」 森山晃嗣 現代書林
「おいしい水安全な水」 左巻健男 日本実業出版社